Elektra Labsがバイオセンサー評価ツールを無料提供、新型コロナによる医療崩壊防止を目指す

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米国の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックが拡大を続ける中、医療関係者、研究者はあらゆるリソースとテクノロジーを使って患者をケアし、疾病の本質を解明して対抗しようと全力を挙げている。医療機器のテクノロジーをモニターし評価するスタートアップが、同社のサービスを医師に無料で提供することにした(Elektra Labsリリース)のもそうした努力の1つだ。

サンフランシスコを本拠とすメディカルテクノロジーのスタートアップであるElektra LabsについてはTechCrunchも何度か報じてきた。ファウンダーは米国食品医薬品安全庁(FDA)の元幹部でハーバードで学びマサチューセッツ総合病院に勤務した経験のある医師だ。Electraの目的は市場に次々に登場している医療用センサーのセキュリティ、正確性、実用性などの評価を提供することにある。

Electraは、新型コロナウイルスの症状をモニターできるとしている医療用デバイスについての同社の評価を臨床医や研究者に対して無料で提供すると発表した。

米国における感染者数は250万人に達し、医療専門家が以前から警告してきた患者数の急増によって医療が崩壊するという最悪のシナリオが現実になりつつある。医療はデジタルテクノロジーを利用した遠隔医療に大きくシフトしているが、これは医療関係者がそれを望んでいるというより、他に方法がないからだ。

マサチューセッツ総合病院の最前線で新型コロナウイルス患者を治療してきたElektra Labsの共同ファウンダーであるSofia Warner(ソフィア・ワーナー)医師は、声明で「遠隔医療が有用なものであるためにはを患者のバイタルサインを確実に把握できるなければならない。患者を測定しているセンサーの信頼性を把握することは医療プロバイダーにとって非常に重要だ」と述べている。

デジタルモニターをはじめとすると各種のリモート医療テクノロジーが重要なのは臨床分野だけではない。新型コロナウイルスの流行が始まり、ボランティアと直接対面して治験をすることが不可能になってから新薬の研究、開発でも極めて重要な役割を担うようになっている。

ハーバードとMIT共同の設置によるレギュラトリーサイエンスセンター(Center for Regulatory Sciences)のAriel Stern(アリエル・スターン)博士は声明で「パンデミック下で大規模かつ多額の費用を要する臨床試験を実施している製薬会社は患者、被験者の安全を確保しながら研究を進めるために急速にリモート医療テクノロジーを採用しつつある。多くの製薬会社が安全で効果的であると同時に治験参加者が自宅で簡単に利用できるデバイスを発見することを急いでいる」と述べた。レギュラトリーサイエンスは日常接する物質や現象についてその効果や安全性を評価し、行政的規制を通じて公衆の健康維持を図る科学だ。

2019年秋にElektra Labsはウェラブル端末を利用したデジタル医療ツールを発表し、インターネットに接続されたセンサーによるバイオメトリクスの正確性、有効性、実用性、プライバシー保護能力などを検証した。また2020年に入ってこうした研究を支えるノウハウや手法をフレームワーク化し、Nature Digital Medicineの論文として公開している。

Electraは Founder Collective Boost VC、Maverick Ventures、Village Global、Arkitekt Venturesなど初期段階のスタートアップへの投資を専門とするベンチャーキャピタルの支援を受けている。またすでに製薬会社や研究機関での採用も相次いでいる。

Elektra LabsのCEOであるAndy Coravos(アンディー・コラヴォス)氏は「テクノロジーの進歩は人々が身をを守る能力よりずっと速く進歩してきた。Elektraの共同ファウンダーとなったのは在宅で人々のケアを簡単かつ安全に行えるようにしたいからだった。新型コロナウイルス危機に際してこれがかつてないほど重要な課題になっている。パンデミック下で患者の治療とヘルスケア全般のイノベーションのために努力している人々に我々のAtlasプラットフォームを無料で提供できることを嬉しく思っている」と述べた。

App Storeにおける利用データを使ってアプリをランクづけするApple(アップル)の手法とは異なり、Elektra Labsによる医療用センサーの評価スコアやランキングは一般公開はされない。

評価を利用できるのはリモートケアを実施する臨床医、リモートで臨床試験を行う研究者、健康モニタリングツールを比較検討している公衆衛生当局者などの専門家のみだという。

医師や研究者が、ビデオによるリモートケアの補完に利用するバイオメトリックセンサーとして患者が自宅で使用するのに安全であり効果的なデバイスであるかどうかを判断できるようにしようというのがElectra Labsの目標だ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook